月下に踊る

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「どういうつもり……?何故妨害するのかしら?」 クロエが疑いの目で圭たちを見る。すると圭はクロエの方に振り向くと、 「そうだな、まあお前には敵意が無いからな。俺たちとは本当に戦いたくないんだろ?」 「それはそうよ。でもそれが敵意の無い事への証明にはならないわ」 クロエが言うと今度は廉が呆れた顔をすると木刀を彼女に向けると、 「今の攻撃、かなり軽かったわ。確かに当たれば怪我はするでしょうけどそこまで強くはない。この様子だとあいつに対しては手加減してたわよね?」 するとクロエはしばらく黙っていたが、やがてはぁとため息をつくと、 「あなたたちには気付かれていたようね。ということは私たちの”目的”も知ってるということかしら?」 「詳しくは分からん。だが俺たちにとって危険なものではない事だけは分かる」 圭が言うと廉も頷く。クロエはふっと笑うと目をつぶり 「……あなたたちを敵に回さなくて正解だったわ」 「さて、いったい何が目的なのか、聞かせてもらっても?」 「ええ、いいわ。実は……」 クロエがそう言いかけて止まる。圭と廉が振り返るとそこには、先程圭に殴り飛ばされた俊平が、意識を取り戻したのか立っていた。 彼は圭を睨みつけると、 「お前、俺を殴りやがったな……。お前は奴らとグルだったってか!」 「……そうだった。こいつには分かってなかったんだな」 「どうするのよ?今度は私が殴っとく?」 廉がめんどくさそうに言いながら木刀を構える。しかしクロエが待ってと言うと、 「もう時間だし、何をするのか見せるわ。その方が言うよりも理解できると思うからね。……皆!出てきて大丈夫よ!」 彼女がそう告げると、森の茂みや木の陰から何かが飛び出してくる。それは動物のようで兎や鼬、さらに狸や狐、中には熊もいた。 「これはいったい……?普通の動物たちかしら?」 「障気などは感じないが……。何が始まるんだ?」 圭や廉がそう言い、俊平もキョロキョロと自分の周りを見渡す。 そして動物たちは広間の中心、月が最も当たる場所に集まる。そして円を作るといきなり動物たちが後ろ足で立ち上がった。 「え!?立った!」 廉が驚きの声をあげる。さらに動物たちはそのまま、時計回りに動きなが踊り始めたのだ。
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