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「不思議、なのか?確かに少しぼんやりとしたところはあるが……」
渉が言うと、そうじゃなくてと進は言う。渉が首をかしげると進は、
「不思議、というのは雰囲気もそうだけどどうも人とは違うというのか、何か変わってるというのか……」
「人と違う、つまり何か力を持っているってことなのか?」
「うーん、僕にはよく分からないんだけども、何かそんな気がして……」
少し言葉を濁らせながら言う進に渉も考えをめぐらす。
(そういや、灰岡は彼女に”資格がある”とか言ってたしな。もしかして退魔士なのか?いや、それなら既に能力に目覚めてるはずだし……)
うーんと腕を組み考える渉だったが、いきなり廊下から声が響く。
「あ、渉君!ここにいたんだね!」
彼が振り向くとそこには桔梗が立っていた。どうやら渉を探していたのか、少し息を荒くしている。渉は驚きつつ、
「桔梗か!いったいどうしたんだ?」
「いや、ちょっとね。今日も店の手伝い、お願いしてもいいかなって」
「もちろん!……あれ?でも店には紫がいるんじゃないのか?」
すると桔梗は渉の言葉に実はね、と返すと、
「紫さんは父さんと花の買いつけに行ってていないの。どうも花について勉強して、独立したいんだって」
「そうなのか、意外だな。花にそれだけ興味持ってたなんて」
「まあ、花の魅力が分かってきたんじゃないかな。店にいても時々花について父さんや私に聞いていたし」
へぇ、と感心する渉。するとあ!と桔梗は声をあげると、
「ごめん、次移動教室だからもう行くね!それじゃあまた放課後!」
「お、おう!また後でな!」
桔梗はそう言って走り去った。渉がしばらく黙っていると蚊帳の外にいた進が、
「かなり仲がいいんだね。僕が忘れられてたし」
「あ、すまん!……とまぁ、一応仲はいいが友達止まりなんだよなぁ」
すると進がなら、と言うと、
「少しだけど、僕の経験が役に立つなら使ってよ。渉君の恋がうまくいくよう僕も応援してるしさ!」
「ほんとか!ありがたい!あ、今メモ帳出す!」
そう言うと渉はメモ帳を取りだしそれを構える。その様子に進は少し困惑しつつ、
「ずいぶん本気なんだね……。それじゃあ出来る限りの事は教えるよ」
「おう、頼むぜ先生!」
「……先生は余計だと思うけどね」
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