ヒャクニチソウの花が咲く

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ナイフの刃は渉の肌を傷つけることはできず、当たった直後に地面へと落下する。しかしあてられた渉はいったん後ずさると、 「な、何だ今の!?どうやってあんな正確にナイフを投げたんだよ!」 「だから言ったろう。俺には別の”特技”があるってな……!」 再びナイフを構えた和哉は渉めがけてそれを投じる。またまっすぐ飛んでくるそれを、今度は避ける渉。しかしナイフはすべて渉を掠めていく。ちっ!と舌打ちをした彼だったが、 「おい、よそ見は禁物だぞ?」 その声に渉が前を向くと2本のナイフが彼の眼前まで迫っていた。そして1本は彼の眉間に、もう1本は心臓に当たって落ちる。能力のおかげで傷はつかなかったが、普通ならほぼ即死である。 さすがにそのことに気付いたのか、渉の頬を汗が流れる。一方の和哉は先程と変わらない涼しい顔をしている。すると彼が口を開く。 「かなり頑丈だな。これはなかなか手ごわい」 「へ、だから言ったじゃねえかよ、そんなんじゃこの俺は倒れないってよ……!」 「その通りだな。なら、”別の武器”を使わせてもらおう」 そう言うと和哉は近くに落ちていた鉄パイプを拾う。それは先端が少し欠け槍の穂先のように鋭くなっている。和哉がそれを手に取るとたちまち10本の鉄槍が現れる。彼は1本だけを手に持ち後を地面に突き刺すと、 「さて、いったい何本当たるだろうな?普通なら1本でも致命傷だがあんたは果たして何本耐えられるか……!」 「渉君逃げて!私には構わないで、早く!」 桔梗がそう叫ぶが、渉は逃げない。それどころか、 「望むところだ……、さっさと投げてこいよ!」 にやりと笑い、和哉を挑発してみせた。和哉はほう、と声を上げると、 「よほど自信があるんだな、自分の能力に。だがナイフでは傷つかなくても、この鉄パイプの一撃ではただでは済まん。そう、あんたの弱点は強化しようとも、基本は人間の体である事……!」 そう言いながら彼は鉄パイプを投擲する。それは渉、ではなく近くのガラクタの山に突っ込む。すると土煙が上がり、渉の視界が遮られる。 「うぉ!?なんだこれ!」 彼の声が聞こえるがすかさず和哉は鉄パイプを4本投げつけた。それは渉がいた場所へ飛んでいくとそのまま消えた。恐らく渉に当たったのだろう、鉄の音は響いてこない。 「そしてもう一つ、あんたの弱点は過剰な自信だ。その驕りは自らの身を滅ぼし、死へ誘うのさ」
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