ヒャクニチソウの花が咲く

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和哉は先程渉に放った鉄パイプを数本持つと、そのまま怪物たちの群れへと突っ込んでいく。 「あ、おい!一人で突っ込んでどうにかなるもんかよ!」 渉が叫ぶが、彼はそのまま敵に向かって両手の鉄パイプを投じた。それぞれ1匹ずつに命中すると怪物は断末魔を上げ、灰になって消える。さらに怪物が迫るが和哉はすかさず、地面に差していたパイプを引き抜き振り向きざまに2本投げると、見事命中し2匹仕留める。 「4体……。しかしまだ湧いてくるか、だったらこれでどうだ……!」 和哉は残り3本の鉄パイプを軽く触れるとそれを高く宙に放った。するとパイプが2倍3倍に増え、10数本が落ちてくる。時間差で落ちてくるそれを彼は落ちてきた順に掴むと、怪物の群れに向けて投げつけていく。 鉄パイプは1匹1匹に正確に突き刺さる。嵐のように降り注ぐ鉄の雨は黒き異形のものたちを貫いていく。しかしそれも徐々に少なくなっていき、反対に怪物の数は増えていく。 「ち、そろそろパイプが切れる……。だったらこいつで……!」 和哉はそう言うと最後の鉄パイプを投げ、今度は足元に落ちていた木材を拾い今度はそれを増やす。それを投じていくが先程に比べ威力が落ちているため、当たっても倒されない。和哉は焦りの表情を浮かべ、 (まずい、このままじゃ押し切られる……。近くに武器になるものも無いし、ナイフ程度ではダメージを与えられん、……大見得切って出てきたが、この程度だったか……) やがて木材も切れ、ついに怪物たちに囲まれた和哉。すると彼は諦めたような表情をすると木材を落とし、 「……やれやれ、ここまでか。ま、俺もこの程度だったって事だな」 呟くように言った。怪物たちは様子を窺っていたがやがて示し合わせたかのように彼に飛び掛かってくる。和哉はその場で何もせず立ち尽くしていたが、 「……させるかよ!おらぁ!」 いきなり渉が飛び込んでくると怪物たちの攻撃から和哉を庇う。そしてすべての攻撃を受けると前で交差させていた腕を開きその勢いで敵を弾き飛ばす。 「な、あんた……。何のつもりだ?」 驚愕の表情を浮かべた和哉は、すぐに疑いの視線を向ける。しかし渉は怪物たちの方を向いたまま、言い放った。 「目の前で敵に囲まれ死にそうになってる奴がいるのに、そいつ放って自分だけ逃げて助かるなんてしない。俺だったらそいつも助けて全員助かる、その方が絶対良いだろ?」
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