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「実はこの子──」
「──魔力が感じられないの……!」
「バカな! 私とリズの子だぞ! そんなバカなことが……」
ゼアトゥールは慌ててロゼルクスの体に触れて、魔力探知の魔法を発動させる。
ゼアトゥールの手が白い輝きを放つ。
それと共に、ゼアトゥールの顔がみるみる内に青くなった。
魔力とは血統が物を言うものだ。魔力の高い者同士が交われば、その子どもは当然魔力が高くなる。
王族や貴族などは、昔からそうして魔力の質や高さを保ってきた。
だからこそ、王族や貴族は平民に比べて魔力が数段高く、高いからこそ存在を許されているのだ。
しかし、ロゼルクスは王族でありながら、その魔力が少しも感じられない。
「残念だがリズ、この子に王位を継がせるわけにはいかない。いや、この子はエスペラント王家に居ることすら許されない!」
「そ、そんな! ロゼルクスは私とあなたの大切な子なのですよ!」
魔力などなくても、ロゼルクスはゼアトゥールとリズベッドの血を分けた大切な子ども。
ゼアトゥールもそう思っていると信じていたからこそ、話したというのに……。
リズベッドの心は一瞬にして奈落の底へと突き落とされた。
ロゼルクスはエスペラント王家には居られない……。その言葉が意味することは、すなわちロゼルクスを捨てる、ということだ。
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