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「だが、魔力のない者に王位を継がせることはできない。王位を継ぐことができない以上、この子はエスペラント王家に居ても不幸になるだけだ。
それに、魔力のない者が産まれたとあっては、エスペラント王家の名は地に堕ちてしまう。諸侯や貴族への外聞も悪くなってしまう」
リズベッドはさらに絶望した。ゼアトゥールが心配していたのは、王家の体裁だけだったのだ。
ロゼルクスのことなど、口先だけ。
魔力がない……、それだけで最早自分の子どもだとも思っていないように思えた。
「どうかなさいましたか? ゼアトゥール様、リズベッド様」
そこへ、給仕たちに指示を出してきたベルモンドが、ゼアトゥールたちの大声を聞きつけてやってきた。
「丁度よいところに来たな、ベルモンド。実はな、ロゼルクスから魔力が感じられないのだ。魔力なき者に王位は継がせられん。残念だが、この子を捨てなければならないのだ」
「魔力が感じられないですと? 本当でございますか!?」
「うむ。私自らが確かめた。間違いない」
「失礼ですが、ゼアトゥール様。私は未だかつて魔力がない者を見たことがございません。もしや、ロゼルクス様は伝説の……覚醒型ではないでしょうか?」
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