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「何故魔力が現れるまで、そのように時間が掛かるのですか?」
「詳しい理由は分かっておりませんが、一説には幼い身体では耐えきれない程の膨大な魔力自体が、発現することを自ら抑制するから、と言われています」
一通り説明を聞いたリズベッドは、恐る恐る核心について口にした。
「では、ロゼルクスもその覚醒型であると……?」
「ゼアトゥール様とリズベッド様の子息であれば、その可能性は大いにあるでしょう」
その言葉を聞いたリズベッドの顔が、途端に輝く。
「あなた!」
「……わかった。この子の処遇については、六歳まで保留としよう」
「えぇ、大丈夫ですわ。ロゼルクスは私とあなたの息子ですもの。きっと素晴らしい魔法使いになってくれますわ」
リズベッドは、沸き上がってくる不安をかき消すように、そしてたった今生まれた希望を噛みしめるように、きつくロゼルクスを抱きしめた。
──この日、エスペラント王国は、観測史上最大の豪雨に見舞われた。
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