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「うおおおおおおおお!!!」
ラスボスとでも戦うような雄叫びを上げ、人混みを掻き分けながら突き進む。
今のオレにパンの善し悪しを気にしている余裕はない。
適当に手に触れたパンを掴み引き抜く。
「……!!カツサンド!!」
奇跡が起きた。
カツサンドはこのパン販売に置いて一番人気の惣菜パン。
今までの不幸はこの為にあったに違いない。
……と、今のオレの胃じゃあカツサンドのみでは足りないだろう。
そう思い、同じようにもう一つのパンを引き抜いた。
「……コロッケパンッ!?」
今度引いたコロッケパンはパン販売に置いてNo.2を誇る人気パン。
これなら寝坊して犬に三回追いかけられて黒板消しトラップに引っ掛かって先生に23回当てられた甲斐があったと言うものだ。
さぁ、会計だ!!
「おばちゃん、これ二つ!!」
「あいよ、320円だよ」
「320円ねー」
ご機嫌になりながら、普段尻ポケットに入れてあるはずの財布に手を伸ばした。
……が、そこには何も入っていない。
「あれ?」
おかしい、普段は忘れずにここに……バックにも入れた覚えはないし……。
……いや待てよ?オレ……今日財布を手に取った覚えねぇぞ?
「家だァアアアアアアアッ!!!!」
結局買えず、昼飯はお友達からタコさんウィンナーを一個貰いました。
カツサンド……コロッケパン……。
君たちのことは一生忘れないぜッ……!!
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