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「私だってぼっちで可哀想だなって思わなければ、誰があなたとなんか」
円は負けじと言い返して、プイとそっぽを向いた。
今更気づいても遅いのだ。自分の罪がどれだけ重いかなんて。
分かっていたはずだった、知っていただけだった。
「ごめん」
思わず口をついて出た言葉。
「昨日のことは悪かったって思ってる。ついかっとなって……やり過ぎたって思ってる」
一瞬目を丸くして驚いたのは、円だけではない。
俺は何を言っているんだ。分かっていたけど、止められなかった。
たかだか言葉による謝罪が、償いになどなるわけがないというのに。
「やり過ぎてるのはいつものことでしょ」
案の定、円の返答はにべもなくて、俺は苦笑するしかなかった。
「謝らないで。おかしいよ、今更」
円は言った。俺には謝る資格すらないのだと気づく。当然だった。
それから何を話したのかは、あまり覚えていなくて、とにかく超絶絶叫コースターに乗った時の気持ち悪さばかりが思い出せる。
上下左右に揺られ、お化けに驚かされる。お化けが怖かったわけではないが、本当の意味で吐きそうになりながら地上に降りた。
一方の円は、至極満足そうな表情で、元気に話しかけてくる。
一体何が違うのだろう……と考えていると、彼女は唐突に言った。
「今から言うことは、すぐに忘れてね」
何やら真面目な顔で、妙な予感がした。
そして、ごめんなさい……という言葉が円の口から漏れた。
「有坂良子の娘として謝ります。比呂くんにも、おじさんにも、すごく酷いことをしているって分かってます。申し訳ないって思ってます……ごめんなさい。ごめんなさいとしか言えません。そして、約束守ってくれてありがとう」
――違う。
真っ先に心の声が言った。謝って欲しくなんかない。だって、円は何も悪くないんだから。
だけど、罪の意識を植え付けたのは他でもない俺。全部、俺の八つ当たり。どこまで馬鹿なんだ。
どうしてこんなことになったのだろう。
こんな気持ちになるなんて、あの日は思いもしなかった。
全部最初からやり直したい。そんな願いが叶うはずもないことは知っている。
もはや、引き返すことはできないのだと。
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