序 章 祖父の話

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 時は天帝77年、剣が支配する戦国時代。  鬼族を操りヤマトの支配を狙う漆黒の魔帝ノブナガと酉族を従えヤマトを守ろうとする純白の聖天ヒミコの壮絶な戦いが日々繰り返されていた。    「おじいちゃん、その話長くなるよね?遅刻しちゃうからまたにしてくれない」  祖父からこの話を聞かされるのは多分15回目、何故か誕生日になると必ずこの話をする。酉倉勇姫【トリクラユウキ】はめんどくさそうに祖父の話を断ち切ると湯呑みに入ったお茶をのみほし立ち上がる。 「こらっ、勇姫話を聞かんか?」 「そのうち聞くから、ごめんなさい」  多分聞く事はない、ノブナガとヒミコなんて確実に時代が違うし歴史の勉強にすらならない、祖父の暇潰しだとこの時は思っていた。 「…おじいちゃん、何見たんだろう」  勇姫はあの話が終わったあとに毎年くれる誕生日プレゼントを貰い忘れた事に気付いたが毎年変な物ばかりだしいいかと自転車に跨がり駅へと向かってペダルを漕ぎ始めた。
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