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警官もまだ諦めていないのか、瞬に向かって、一斉射撃していた。
「瞬!」
流石に広範囲では、海晴も銃弾を取りきれないだろうと、武蔵が身構えた時、境界線が光り銃弾を跳ね返していた。
「両者、その場を動くな。動いた場合は、抵抗したとみなし、その場で死刑となることを、了承せよ」
境界の番人が、仲介に入ったようだった。境界の番人を無視すると、国際問題になってしまう。瞬は、大人しくその場に胡坐をかいて座った。
「良かったのか、悪かったのか…」
境界の番人は、政治的に隔離された組織で、ほとんど介入はしないと、瞬は聞いていた。境界線で人が死のうが、無視している。戦争さえ起こさないのならば、境界の番人は介入しない。
でも、境界線で、『神の御使い』が保護している、御使いが死亡するのはまずいのかもしれない。たとえ、殺そうとしたのが『神の御使い側』で、護っていたのが『死から来た者』であっても、御使いが死亡した場合はややこしいことになる。
「なかなか、来ないから。とりあえず、休める」
なかなか、境界の番人はやって来なかった。でも『神の御使い』も動くことができない。
やっと、瞬が携帯電話の電源を入れると、、すぐに瞬の兄の高瀬から、電話が掛かってきた。
「兄さん」
高瀬は、さんざん怒鳴った後に、水元と瞬を迎えに行くと告げた。境界の番人に、瞬と武蔵の保護者が呼ばれているのだそうだ。武蔵の両親も来るが、瞬の保護者は高瀬になっていた。水元は、高瀬の暴走のストッパー役であった。
「絶対に、そこを動くな!」
高瀬は、既にキレている。
瞬は、高瀬の声を聴き、『神の御使い』での長い一週間が、やっと終了したような気がした。
「で、俺達、御使いのこと、何も知ることができなかったな…」
武蔵の指摘に、瞬が草叢に倒れ込んだ。
「でも、あの世界は嫌だと分かった」
瞬と武蔵の誘拐の容疑は、雪村の説明ですぐに晴れたが、『神の御使い』にとって、瞬の『神の御使い』大嫌いの感情は非常にまずかった。
雪村までもが、『神の御使い』は居たくない場所と思ってしまったので、更に、『神の御使い』の政府が動いてしまった。
御使いに拒否された『神の御使い』では、自らの存在意義が揺らいでしまう。どうにかして御使いを『神の御使い』に戻し、負の感情を隠ぺいしたいようだった。
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