第1章

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 雪村の亡命は、『神の御使い』政府が許さないというものだったが、そもそも、命を警察に狙われていたという事実があった。 「『死から来た者』は雪村を、保護するってさ」  やっと家に帰る事ができたのは、瞬が『死から来た者』に戻ってから、二日後だった。  雪村は、まだ警察の保護下にあった。 「武蔵、何となくまだ不安でさ。一緒の部屋で眠っていいか?」  瞬は、一階で、食事をしながら、夜遅くまで帰って来ない海晴を待っていた。 「それは、いいけど、どっちの部屋にする?」  瞬の部屋の前には、虎も居る。 「俺の部屋でもいいか?」  瞬が、階下に降りると、虎がチラリと瞬を見てから又眠っていた。 「虎!」  武蔵は、虎を猫のように構い、離れられない。 「これ。かわいいな!」  虎も、武蔵が瞬に危害を加えない者と分かっているのか、嫌そうな顔をしているがされるままになっている。 「しょうがない、虎の間で勉強を教えて、武蔵」  二人で、勉強を始めたのだが、すぐに話題が『神の御使い』になってしまっていた。 「なあ、瞬。ずっと『死から来た者』でいるつもりだろ?」 「ああ」  瞬は、色々世話になっている、虎丸に挨拶に行かなくてはと、過去問題を解きながら考えていた。 「あのさ…瞬」  武蔵が言おうか、言うまいか、何か迷っていた。 「どうしたの?」  虎も、心持ちざわついていた。 「S級護衛は、護衛対象の近未来を読む能力というのを、信じてくれるのならば、来る、ここに何かが」 「早く言え!」  瞬は、未来予知能力などない。デジカメを取り出してシャッターを押すと、ビルを囲む黒服が見えていた。 「どこの組織?」  でも、この来客は、普通ではないと分かる。普通ならば、ビルを取り囲んだりしない。  水元の護衛文字が発動したのか、壁に文字が浮かび建物が交戦状態になった。 「空間転移するか?」  武蔵が瞬の腕を掴む。 「遅い!」  派手?な黒服が室内に入っていた。虎が立ち上がり、瞬の前に立つ。  金髪に、ピアス。指には指輪を幾つもはめ、黒服の下からは、金色の刺繍がされたシャツがのぞく。ど派手な青年が一人立っていた。派手過ぎて、黒服を着ている意味が皆無になっている。 「反応が遅いよ。ちなみに俺は、【終末の旗】の戦闘員なんだけどね、御使いを殺したら幹部なのよ」  事情まで教えてくれる意味はわからないが、相手の戦闘能力が高いということは分かる。
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