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雪村の亡命は、『神の御使い』政府が許さないというものだったが、そもそも、命を警察に狙われていたという事実があった。
「『死から来た者』は雪村を、保護するってさ」
やっと家に帰る事ができたのは、瞬が『死から来た者』に戻ってから、二日後だった。
雪村は、まだ警察の保護下にあった。
「武蔵、何となくまだ不安でさ。一緒の部屋で眠っていいか?」
瞬は、一階で、食事をしながら、夜遅くまで帰って来ない海晴を待っていた。
「それは、いいけど、どっちの部屋にする?」
瞬の部屋の前には、虎も居る。
「俺の部屋でもいいか?」
瞬が、階下に降りると、虎がチラリと瞬を見てから又眠っていた。
「虎!」
武蔵は、虎を猫のように構い、離れられない。
「これ。かわいいな!」
虎も、武蔵が瞬に危害を加えない者と分かっているのか、嫌そうな顔をしているがされるままになっている。
「しょうがない、虎の間で勉強を教えて、武蔵」
二人で、勉強を始めたのだが、すぐに話題が『神の御使い』になってしまっていた。
「なあ、瞬。ずっと『死から来た者』でいるつもりだろ?」
「ああ」
瞬は、色々世話になっている、虎丸に挨拶に行かなくてはと、過去問題を解きながら考えていた。
「あのさ…瞬」
武蔵が言おうか、言うまいか、何か迷っていた。
「どうしたの?」
虎も、心持ちざわついていた。
「S級護衛は、護衛対象の近未来を読む能力というのを、信じてくれるのならば、来る、ここに何かが」
「早く言え!」
瞬は、未来予知能力などない。デジカメを取り出してシャッターを押すと、ビルを囲む黒服が見えていた。
「どこの組織?」
でも、この来客は、普通ではないと分かる。普通ならば、ビルを取り囲んだりしない。
水元の護衛文字が発動したのか、壁に文字が浮かび建物が交戦状態になった。
「空間転移するか?」
武蔵が瞬の腕を掴む。
「遅い!」
派手?な黒服が室内に入っていた。虎が立ち上がり、瞬の前に立つ。
金髪に、ピアス。指には指輪を幾つもはめ、黒服の下からは、金色の刺繍がされたシャツがのぞく。ど派手な青年が一人立っていた。派手過ぎて、黒服を着ている意味が皆無になっている。
「反応が遅いよ。ちなみに俺は、【終末の旗】の戦闘員なんだけどね、御使いを殺したら幹部なのよ」
事情まで教えてくれる意味はわからないが、相手の戦闘能力が高いということは分かる。
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