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武蔵が、構えて立っていた。
「ああ、噂に聞いたことがある。光流(ひかる)だろ、お前。光の使い手」
光の使い手で、光を熱に変えて襲ってくる。しかし能力よりも、意味のない服装で有名だった。ド派手な黒服。
「炎座の武蔵だろ?いいねえ、溶かしてみたいよ」
光流の手が動くと、壁に黒い筋が入っていた。光りの当たった壁が、燃えて炭になったようだった。
「壁、ケース、閉じる」
武蔵が何か言うと、瞬の周囲の風が消えた。瞬が、見えない壁に閉じ込められていた。
「虎!瞬を守れ!」
虎が瞬の回りに寄ってきていた。しかも、隙こそあれば、光流に襲い掛かろうとしていた。
武蔵が手から、ナイフを出すと握り締める。
光流が出す、熱線を避けて、武蔵がナイフで切りかかる。本気モードの武蔵の動きは、常人では見ることもできないくらいに速い。音速と呼ばれる、武蔵の動きだった。光流の腕と首から、血の筋が流れていた。
武蔵が戦っているのを、瞬は見ているだけなどできなかった。壁から出ようとしたが、出る事ができない。
瞬は、こんな時でも持ってしまっていたリュックから、ポラロイドを出すと、光流の写真を撮った。
「捕縛」
写真を足で踏みながら、今度は画像データを都築に送った。『面白い能力者が目の前で襲ってきています』こんな手は使いたくなかったが、それでも無駄に殺したくはない。
「武蔵、相手の動きを止めている間に、捕まえて」
光流、縄でも焼ききってしまう。武蔵が、手でおさえながら、どうするかと、考えていると、表にパトカーのサイレンが聞こえていた。
「瞬君…」
水元が走ってきて、光流を文字で拘束してくれた。
「都築さんに何を言ったの?緊急連絡で、捕まえとけと言ってきたよ」
水元が溜息をつきながら、光流を連れてゆこうとしていた。
「それと、表の【終末の旗】も拘束はしたから、安心して」
でも、【終末の旗】が壊滅したわけではない。しかし、それについては、『神の御使い』が、御使いを失ったのは【終末の旗】のせいだと、組織をあげて壊滅に取り組み始めていた。手始めに、警察の調査が行われ、手を貸した人物や、通報者など一斉取り締まりが行われていた。
御使い殺しに手を貸した者は終身刑、実行犯は死刑と、即決の判決が繰り返されていた。
【終末の旗】も、追い詰められてきたのかもしれない。
「おもしろい能力は誰かな?」
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