第1章

6/118
前へ
/118ページ
次へ
「しかし、ここの水、おいしいな」  生水に気をつけろという、虎丸の忠告を無視した武蔵が、腹を壊した。  瞬がリュックから、薬を出すと、虎丸の字で、【武蔵用】と書かれていた。行動は読まれているようだった。  虎丸からの忠告は続き、まず『黒術死には係るな』『終末の旗は高瀬と水元が壊滅させると怒っているから、大丈夫』次に『海晴が終末の旗に乗り込んで、半壊させてきた』と続いていた。 「…向こうでも、激しく何かしているみたいだね…」  武蔵が、メモを見て、時系列順に並べていた。非常に展開が速い。  でも、海晴は無事なのだろうか。瞬が、せつない気持ちになっていると、またメモがやってきた。『謹慎処分になりましたが、怪我はしていません。白戸さんの所の、離れに居たエロ政治家が口添えしてくれました、政治問題も解決です』海晴の字だった。離れのエロ政治家?とは、医師と逢瀬をしていた、人だろうか。とにかく、海晴が無事で良かったと、瞬は手紙を抱きしめた。 「それでは、こちらも動きますか」  疲れないように、瞬と武蔵が交互に、空間転移能力を使い、主にビルの屋上から能力の回収を行う。人に見つかったら、場所を移動する。敵の中でしかも、状況はつかめない、簡単な行動論理を共有認識とする。  地図を頼りに、瞬が空間転移をしようとしたが、暗闇では写るものが無かった。 「最初は、俺からか」  武蔵は、何も物を使わずに空間転移を使用することができた。 「俺の、空間転移は物を使わないけど、一人ならコントロールできるが、人数が増えた場合、ややコントロールがずれる」  瞬が、ビルの屋上から外れていた。あやうく下に落ちそうだった。 「それ、最初に言ってね…」  瞬も空間移動時に、見えてはいるので、次からは調整して降りることにした。 「でも、俺の写るものの限定も厳しい」  常に鏡を設置してから、行動するしか方法がないのかもしれない。 「まあ、疲れるまで、俺が転移させるよ」  武蔵は、ビルで眠っているので、瞬が見張りという役割になった。  瞬は、雪村を車イスに乗せ、屋上から能力を回収させる。  『神の御使い』も普通の会社があり、学生が居る。どこを見ても、変わらないといいたいところだが、普通ではない者も多く居る。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加