第七章 死に交われば死に染まる

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「事件だから、護衛を呼んで」  瞬が、離れの部屋に帰ると、 ダブルベッドの上にバラが散っていた。 散った花びらの中に、 本物の血も混じっていた。  『愛しい心臓を貰う』壁に文字があった。 まさかと、眠っている筈の青年を見ると、 心臓の位置には、花が添えられていた。 そして別の壁には、血文字があった。 『死と精』とあった。 「千都、都築さんを呼んで」  千都が都築を呼ぶと、数分後には現れていた。 「犯人がまだ近くに居る。 ホテルに全ての宿泊客の無事を確認させる」  都築は、部下を呼びだすと、 次々に指示を与えていた。 「やっと開花した能力を、 一回も使用せずに亡くなるなんて、 無念だったろう」  その無念よりも、 ダブルベッドで全裸で亡くなり、 全身キスマーク付だったという方が、 本人にとってはショックだったかと思う。 検視をされれば、 他にも別の意味での証拠が出てきてしまうだろう。
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