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「事件だから、護衛を呼んで」
瞬が、離れの部屋に帰ると、
ダブルベッドの上にバラが散っていた。
散った花びらの中に、
本物の血も混じっていた。
『愛しい心臓を貰う』壁に文字があった。
まさかと、眠っている筈の青年を見ると、
心臓の位置には、花が添えられていた。
そして別の壁には、血文字があった。
『死と精』とあった。
「千都、都築さんを呼んで」
千都が都築を呼ぶと、数分後には現れていた。
「犯人がまだ近くに居る。
ホテルに全ての宿泊客の無事を確認させる」
都築は、部下を呼びだすと、
次々に指示を与えていた。
「やっと開花した能力を、
一回も使用せずに亡くなるなんて、
無念だったろう」
その無念よりも、
ダブルベッドで全裸で亡くなり、
全身キスマーク付だったという方が、
本人にとってはショックだったかと思う。
検視をされれば、
他にも別の意味での証拠が出てきてしまうだろう。
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