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”千里の道も一歩から”編_拾肆
私はいつもより1本早い電車で、会社を訪れた。
佐々木達がいつも6階でタバコを吸っているのは知っていたので、
荷物を置いてそちらへ向かう。
廊下まで聞こえる楽しそうな笑い声に少し怯むが、ドアをノックした。
一瞬、シンッと静まって、ソーッとドアが開く。
顔を出したのは、立花。
「せ、先生???」
私は様子を伺うように小さな声で尋ねる。
「・・・就業前なのに、邪魔してごめんなさい。
佐々木くん、いるかしら?」
佐々木っ、と立花が呼ぶと
タバコ臭い佐々木が恐る恐ると言う感じで出てきた。
私は安心させようと、頑張って微笑む。
「ごめんなさいね。ちょっと、時間もらえる?」
はい・・・、と佐々木は強張った顔で頷いた。
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