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「突き落とされた、とは、どういうことだ?」
右側に座っていた男性が眉根を寄せて尋ねた。
叫んだ女性に比べれば、いくらか冷静さが見て取れる。
返事をしようとした佐々木を私が遮る。
「なんでもありません。
私の不注意で、階段から落ちた所を偶然に居合わせた
佐々木くんが助けてくれた、ということです。」
佐々木は咎めるように、
センセイッ、と小さく抗議の声を上げる。
私はそれすら遮った。
「誤解を招くような真似をしてしまい、申し訳ありません。
ですが、佐々木くんも言った通り
疑われているような関係では決してありません。
ただ、配慮が足らず、
このような誤解を受けたのは私の落ち度です。
申し訳ありませんでした。」
佐野は私と一緒に深く頭を下げてくれた。
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