”千里の道も一歩から”編_拾漆

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  佐野は右側の男性に尋ねる。 「田所部長、このFAXの経緯を教えて頂けますか?」 ああ、と田所は頷く。 話し出そうとした田所を女性が遮る。 「これは、今朝業務部に届いたものですっ! 私が気が付いたからよかったようなものの 他の子たちが目にしていたらどうなっていたことかっ!!」 その通りだ、と左側の男性がドンッと机を叩く。 「美江が気が付かなければ、今頃パニックだ。 本当に恥ずかしいことをしてくれたなっ!!!」 申し訳ありません、と私と佐野は頭を下げた。 男は私を蔑むような目で見た。 「30も過ぎると、焦る気持ちは分かる。 だがな、見合いならプライベートでしろ。 10以上も年下の男に手を出すなんて、まったく・・・」 佐々木が前に出ようとするのを、私と佐野で押さえる。 田所がまだ言い足らない様子の男性を止めた。 「瀬田部長、それは言いすぎです。 それに彼女たちは関係を否定し、軽率な行動を謝っています。」 「謝ればいいってものではありませんわっ!」
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