”千里の道も一歩から”編_拾漆

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  ギリッと佐々木が歯を鳴らした。 その目も態度も明らかに、美江を威嚇していたが 怒鳴らなかっただけ、いい、としよう。 田所が反発する。 「そこまでは必要ない。 事実でない限り、妥当ではないし、処罰にも値しない。」 だが、瀬田がそれに抗議する。 「処罰は当たり前だ。 こんな不祥事、さっさと辞めさせた方がいいに決まっているっ!」 私は佐々木を抑える事に必死で、 彼らの言葉に気を配る余裕も無くなる。 そんな時、言い合いを始めた3人に佐野がピシャリと命じる。 「お待ち下さい。」 3人は佐野を一斉に見た。佐野は淡々と続ける。 「おっしゃりたいことは分かりました。 ですが、本日は鏡も不在で、私では判断しかねます。 そちらを預かり、検討し、鏡からお返事させて頂きます。 ・・・それで、よろしいですね?」 佐野の言葉は丁寧で、 質問形式なのに有無を言わせない迫力を含んでいた。 3人は頷き、私たちを解放した。
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