”千里の道も一歩から”編_弐拾壱

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  だが、歩美は私の手を強く掴み、引き止める。 「知っています? 大山先輩、東京支社の役員の娘と婚約ですって! 美紅とかいう、ぶっさいくな女。 そんなツマラナイ女で満足できるなんて、信じらんないっ!」 歩美はそう私に言いながら、 徐々に涙ぐみ、悔しそうに顔を歪めていく。 『こ、この子・・・』 私は愕然としたまま、歩美を見下ろす。 29歳になっても、童顔の彼女は可愛らしい。 大きな目に、整った顔。 そして、何より小柄で可愛らしい雰囲気。 全てが女の子っぽくて、私とは正反対だった。 その歩美は確実に博にまだ未練を残している。 それなのに、別の男と結婚する、というのか・・・
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