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だが、歩美は私の手を強く掴み、引き止める。
「知っています?
大山先輩、東京支社の役員の娘と婚約ですって!
美紅とかいう、ぶっさいくな女。
そんなツマラナイ女で満足できるなんて、信じらんないっ!」
歩美はそう私に言いながら、
徐々に涙ぐみ、悔しそうに顔を歪めていく。
『こ、この子・・・』
私は愕然としたまま、歩美を見下ろす。
29歳になっても、童顔の彼女は可愛らしい。
大きな目に、整った顔。
そして、何より小柄で可愛らしい雰囲気。
全てが女の子っぽくて、私とは正反対だった。
その歩美は確実に博にまだ未練を残している。
それなのに、別の男と結婚する、というのか・・・
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