”千里の道も一歩から”編_弐拾壱

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  歩美が私の手首を更に握り締めた。痛みに顔を顰める。 「あんたさえ・・・ あんたさえ、さっさと消えてくれれば・・・」 狂気に似たその表情に私は後ずさる。 だが、彼女は私の手首を放そうとしない。 田尻だけが、それを必死に止めたが 細川たちは冷たい表情で当然というように、それを傍観していた。 痛みと恐怖で気持ちが萎縮し始めた時、 歩美の手が簡単に振り解かれる。 「僕の大切な人に乱暴、しないでくれる?」 私はその朗らかな声にホッとして、振り返った。 鏡がにっこりと私に微笑み、 私の身体を引き寄せ、歩美から離す。 「お待たせ。 寒い中で待ってなくて良かったのに・・・、大丈夫?」
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