2人が本棚に入れています
本棚に追加
歩美が私の手首を更に握り締めた。痛みに顔を顰める。
「あんたさえ・・・
あんたさえ、さっさと消えてくれれば・・・」
狂気に似たその表情に私は後ずさる。
だが、彼女は私の手首を放そうとしない。
田尻だけが、それを必死に止めたが
細川たちは冷たい表情で当然というように、それを傍観していた。
痛みと恐怖で気持ちが萎縮し始めた時、
歩美の手が簡単に振り解かれる。
「僕の大切な人に乱暴、しないでくれる?」
私はその朗らかな声にホッとして、振り返った。
鏡がにっこりと私に微笑み、
私の身体を引き寄せ、歩美から離す。
「お待たせ。
寒い中で待ってなくて良かったのに・・・、大丈夫?」
最初のコメントを投稿しよう!