”千里の道も一歩から”編_弐拾壱

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  そう言って私を自分の胸まで引き寄せた鏡は 何を思ったのか、私の頭上にキスを落とす。 真っ赤になって慌てる私に、鏡が笑う。 「相変わらず可愛いね。 職場を離れたんだから、これくらい許せよ。」 細川が驚いた様子で聞いた。 「ま・・・、まさか、彼氏・・・ですか?」 私が否定する間もなく、鏡が答える。 「そうだよ。君たちは由紀の知り合い? まあ、どうでもいいけど。」 でも、と続けた声音に彼女達の顔から血の気が引く。 「これ以上、僕の彼女、傷つけたら・・ ・・・・・・・・・・・僕が許さないよ・・・」 ゾッとするほどの暗い声に驚いて、 私は鏡の腕の中で彼を見上げた。 鏡は私を見つめ返し、いつも通りに微笑んだ。 鏡は呆然としたままの私を抱いたまま、 じゃあね、と彼女達に手を振り、タクシーに乗り込む。
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