”千里の道も一歩から”編_弐拾壱

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  タクシーの中でも、鏡は私の手を離そうとしない。 だが、離して下さい、と抗議する雰囲気でもなく・・・ どこか威圧的な空気が居心地が悪い。 不意に、鏡が私の手を軽く握り締めた。 「大山って、元彼?」 ええ、と私は今更なので、素直に頷く。 鏡は暫く黙った後、突然切り出す。 「ねえ、今夜、飲みに付き合って。 もちろん、完全プライベートでっ!」 え!、と私は顔を顰め、身構える。 鏡はいたずらっ子のように笑う。 「今日は俺に借りがあるでしょ? すぐ返したほうがいいと思うよ。 ・・・俺の利子、すっごい高いから・・・」 私は渋々頷いた。 鏡はニコッと笑う。
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