”千里の道も一歩から”編_弐拾壱

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  最終日、リーダーの森川は私に深く頭を下げる。 「本当に助かったよ。ありがとう。 本当は、感謝を込めて 美味しいもんにでも連れて行きたいんだけど、 今は忙しくて・・・ 落ち着いたら、絶対に誘うから、その時は来てね?」 ありがとうございます、と私は笑う。 「その時は是非・・・。残り、頑張ってくださいね。」 ああ、と森川は頷く。 「また、いつか、きっと一緒に仕事をしましょう。」 森川は小さな声でボソッと付け加える。 「・・・でも、もう少し、マシな現場で・・・」 私はクスッと笑って、是非、と返した。 鏡は顧客へ挨拶も兼ねて迎えに来てくれたので 私は簡単に鏡と一緒に挨拶を済ませて、ビルを出た。 もう外は薄暗かったが、 こんな早い時間にビルを出ることが無かったので、 デパ地下に寄ろうかな、などと考えていた。
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