”千里の道も一歩から”編_弐拾壱

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  細川はまるで確執など感じさせず、嬉しそうに寄ってきた。 「すっごい、久しぶりですね!しかも、すごい奇遇っ!! 皆、もう結婚退社してるんですけど、 今日は歩美の結婚退社のお祝いにたまたま来たんですよっ!」 私はなんとか笑顔で、おめでとう、と答え、さっさと逃げ足す。 「じゃあ、楽しんで。」 それを細川が止める。 「先輩は、まさか、まだ働いてたりするんですかぁ??」 田尻が、やめなよ、と止めたが、 細川は、いいじゃん、と突き放した。 細川は会社での恨みをここで晴らそうとしているらしい・・・ 私は冷静に対処するよう努めた。 「ええ、この仕事があっているみたい。」 そうですよねぇ、と細川は馬鹿にしたように笑う。 「あんなにみっともない位、必死に仕事してましたもんねぇ!」 私はお腹に力を籠めて、顎を上げる。 そして、黙って、細川を見据える。 細川はグッと唸り、不貞腐れたように目を反らした。 ・・・・・・・・・大人をなめんなよ、小娘が・・・
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