プロローグ

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 2015年…つまり現在から500年も昔。  『異世界』というこの世じゃないどこかからある男がやってきた。  男の名はシモン・マグス。どこからともなくひょっこり現れた彼は、当時の人々にこう伝えたらしい。 「この先、異世界からの侵略が始まる」  正気を疑う人がほとんどで、誰も彼の言葉に耳を貸そうとはしなかった。必死に訴え続けるシモン・マグス。テレビやネットで騒いでおきながら全く信じない人々。その形は半年の間に、あっさりと覆された。  異世界からの侵略が開始されたのだ。それも何の前触れもなく、それは始まった。異形の『魔物』が世界に溢れ、人類は困惑と絶望に飲み込まれた。  そんな中、シモン・マグスはこう言ったそうだ。 「異世界の魔物を倒すには、異世界の技術を知る必要がある。世界を救いたければ私を信じろ」  この世界にある武器では太刀打ちできないと思い知った人類は手のひらを返すように彼の言葉に耳を傾け、やがて『魔法』という力を手に入れた。魔法は科学では証明できない不思議なものだったが、研究に研究を重ね、たった1年で魔物と渡り合えるほどにまでなった。  当時に比べたら大人しくなったが、今もなお、異世界からの侵略は続いている。  人類は虎視眈々と世界を狙われながらも魔法を研究し、限界のある科学の代わりに産業や医療、犯罪抑止に役立てた。  世界はこの技術の更なる躍進のため、魔法を学ぶための学校を各地に創設し、後の世に伝承していった。  それから500年という長い年月を経て、人類は魔法を日常の一部へ組み込んだのである。
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