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復讐のために学校に通うなんて、そんな普通じゃないことはできればしたくない。
でも、こうでもしないと神谷夢人は…私の親友は報われない。
だから歩いて前へ進む。立ち止まることはおろか、振り返ることも引き返すこともできない道。恐怖とか不安とか、いろんなものがのしかかるけど、全部背負って私は歩くんだ。
いつしか足取りは軽く、心にはほんの少しの勇気が湧いていた。
この調子でまずは第一歩。学校生活という大きなスタートを踏み出していく。辛いことも楽しいことも全部受け入れて、強い魔法士になるんだ…!
私は、後に待っている壮絶な闇の、その気配すら感じずに、ただひたすら手を握り締めて歩いた。
やがて、私は堅牢な城門を思わせる校門を潜る。そこから先はとても学校の敷地とは思えなかった。
等間隔に並ぶ桜並木と、噴水を中心にベンチが並ぶ円形広場。まっすぐに続く煉瓦の道を、景色を堪能しながらゆっくり歩く。多くの生徒が談笑し、じゃれあいながら、時にはあくびをしつつ登校していた。
生徒の雰囲気はどこの学校も変わらないな、なんてのんきに思いながら、春の陽気の中を進む。
そして辿り着いた正面玄関。大きなガラスの扉がいくつも並び、次々に生徒を迎え入れていく。
白亜の宮殿さながらの大きな校舎。真上に伸びる尖塔の先には、なんと教会のチャペルにありそうな黄金の鐘が輝いていた。
私は感動のあまり呆けてしまった。だがすぐに顔を引き締め、玄関扉を潜る。
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