第1章

3/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
このヘリコプターは多用途ヘリコプターUH-60JA、通称飛竜。ブラックホークと言った方が分かりやすいかもしれない。 UH-60JAはタイヤがついているので、車のように地上を走ることが可能なのだ。 誘導員の指示に従いながら無事スポットに到着。 すぐさま扉を開けてタイヤにチョークをする。 機内に戻り燃料の確認をする。 最後に整備員が残燃料を確認することをパイロットは知っているので、計器の画面を最後は燃料モードにしておいてくれる。 残燃料を確認し、エンジンカットまで見守る。 パイロットの最終チェックが終わりフライトが終わる。 航空ヘルメットを脱いで耳栓を外す。 「お疲れ様でした」 私がパイロットに挨拶をすると両パイロットもヘルメットを脱ぎながら声をかけてくれた。 「お疲れさん~」 軽い口調で返事をしたのは機長の吉野3佐。 そこそこのおじさんなのに気持ちは大分若いらしい。 「南条2曹もお疲れさま」 振り返りながら優しく言ってくれたのは綾瀬2尉。教官パイロットとしては非常に若い28歳。 「フライト中、何か異常はなかったですか?」 「全く問題ないよ。エラーコードもなかったし」 綾瀬2尉がフライトメモを確認しながら 答えた。 「了解です。ありがとうございました」 「先に上(事務室)にあがってるから」 吉野3佐がカバンにヘルメットをしまいながら言った。 「私も後からあがります」 「後をよろしくね」 フライト後で疲れているはずなのに爽やかな笑顔で綾瀬2尉が言った。 「お疲れ様でした」 とりあえず私も笑顔で返す。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!