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ほんの数分間いただけにも関わらず、あまりの不気味さと、魂を押し潰されるほどの圧迫感に、気分が悪くなりそうでした。
耐えられなくなった私は、
「…ちょっと、気味悪くない?もう帰ろうよ。」
と、言ったものの、全く霊感のない主人は驚いて、
「えっ?帰るの?せっかく来たんだから、もう少し見ていこうよ。」
などと、信じられない事を言い出しました。
私は、主人の言葉を振り切って、
「とにかく、帰ろう!」
と、急き立てました。この場所の異様な雰囲気が、耐えられなかったのです。
私が踵を返して、帰ろうとした時です。
突然、すぐ近くから砂利を踏みしめる足音とともに、歩く度に当たる帯刀した甲冑独特の音が、聞こえてきました。
しかもそれは、こちらに向かって、次第に近づいて来るではありませんか。その気配は、明らかに、生身の人間のそれとは雰囲気が異なっていました。
“…まずい!早く、ここから逃げなければ…。”
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