再会

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「ん? あれ? もしかして、昨日ぶり?」 成瀬君が私に近づいてきて言った。 「翔太の知り合い?」 身長が180cmほどはあるだろうか? 背の高い良介君が首を傾げて成瀬君にたずねている。 「んー、昨日会った。よな?」 成瀬君が自信がないのか疑問系でわたしに聞いてくる。 「何でそこ、疑問系なの?」 そう笑いながら突っ込んだのはテレビのアイドルにいるような可愛い系の顔の光輝君だった。 「会ったの夜だったから。……で会ったで正しい?」 成瀬君がもう一度聞いてきた。 昨日チャラいと思った女の子はわたしだとバレたくないという気持ちと成瀬君に顔を覚えていてもらえたい。そんな気持ちが交差した。 ……昨日はチャラいと思ってごめんなさい。 わたしは罪悪感の気持ちを含みながらたじろい気味に 「はい」 と答えた。 成瀬君は昨日のやりとりを思い出したのか小さく吹き出しながら 「気にしてねーよ?」 と言ってイタズラっぽい笑みでくしゃりとわたしの頭を撫でた。 それと同時に予鈴がなり黒縁メガネの広哉君が慌てたように言う。 「あっ! やべっ! 次、岡田の数学の授業じゃん。早く戻らないとまた、ネチネチ言われるぞっ!」 「そうだな、じゃあ、またなっ!」 成瀬君が手を振って帰っていった。
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