第一章

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 まあ、信じる信じないは別にしても、龍神の巫女を名乗る女の正体を調べることが、あの訳わからない連中の正体を知ることにつながるのだったら、行ってみる価値というのもあるだろう。 「なら、こっちだ。…あんた、馬鹿そうに見えたがそうじゃないらしいな」 「な…馬鹿って」  こいつどこまで失礼なんだ。明らかにこの少年に比べて俺は年上だ。下手したら一回り近く違う可能性がある。  それに馬鹿っていわれるとは… 「あ、またやってしまった。思ったことが口に出てしまうんだ」  なんだそれ。  まあ、これでわかった。俺とは違うタイプだ。  関わろうとしてしゃべるのはいいが、思ったことが口にでて墓穴をほってしまうというタイプか。 「いい性格しているな。まあ、俺も人と関わりたくないから、これ以上話す気はない。じゃあ、案内してくれ」  なんか、ちょっと憎めないタイプなのかもしれない。  話を聞いていれば、ちゃんと自分の過ちを認める。  そこらの上っ面だけで生きている連中にくらべれば、人間としてましなのかもしれない。 「あんたも思った以上にいい性格してんな。ああ、こっちだついてきな」  まさか、少年と二人で神社にいくとは。今日という日は本当におかしい。  なんか、たった一日なのにぐったり来ている。
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