第一章

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 あれ?なんだっけ…  わからない…  でも、生きたい。  そう、俺はここで終わりたくない。  混乱している俺の前に、おとぎ話の牛若丸のような着物を着た少年がさっと現れた。一瞬現代だよなと疑ってしまうようなそんな衣装だ。  その上に、その手には怪しく光る刀が握られている。  正直、俺は思ってしまった。  また出てきた。訳の分からない奴が… 「兄さん、今のうちに早く逃げな」  少年はまるで友達に話すかのように軽い口調で、俺に話しかけてきた。  俺はいわれた通り逃げ出そうとするが、黒い謎の集団は俺を逃がすつもりはないらしい。  そんな様子を見ていた少年は、俺にも聞こえるほどのため息をつくと、この謎の集団を睨みつけていた。 「最近やけに騒がしいと思ったら、あんたらの仕業か。この男をなぜ狙う」  そう言って、俺を取り囲んでいる黒い謎の集団を、持っている刀で斬りつけていった。  俺は恐怖のあまり目を閉じる。  人が死ぬとこなんて、見たくもない。  耳元には刀を振り下ろしたときの風を切る音などが聞こえてくる。  その度に、俺は震えていた。  どれほど時間がたったのだろう。  俺はずっと目をつぶったままいたから、時間のたち方が分からないでいた。  シュッという音だけが、今も耳に残っている。 「終わったぞ。しっかし、兄さんは情けないね」  俺は恐る恐る目を開けると、刀を納める少年の姿があった。  目力の強い少年だ。  白い肌に、顔立ちがほんといい。  はっきり言って、小学校でかなり、もてているだろうと言いたくなるような美男子だ。  一見すると少女と間違えるかもしれないほどの、中性的な顔をしている。  さっとあたりを見回すと、先ほどまでいたあの黒ローブや緑の化け物がきれいさっぱり消えていた。  だがそこには、血のあとも死体もなかった。 「さっきのはなんだったんだ?」  そう、そもそも、そこ自体がわからない。  急に襲われたため、一体何者かもわからない。  そう、いきなりすぎて、理解なんてできるはずがなかった。 「しらないけど、どっちかというとあっちの世界の者じゃないか?あんまいい連中じゃない。で、なんであんな奴らに狙われてるんだ?」  正直わかっていない。  そもそも、こっちが聞きたいくらいだ。
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