0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
あれ?なんだっけ…
わからない…
でも、生きたい。
そう、俺はここで終わりたくない。
混乱している俺の前に、おとぎ話の牛若丸のような着物を着た少年がさっと現れた。一瞬現代だよなと疑ってしまうようなそんな衣装だ。
その上に、その手には怪しく光る刀が握られている。
正直、俺は思ってしまった。
また出てきた。訳の分からない奴が…
「兄さん、今のうちに早く逃げな」
少年はまるで友達に話すかのように軽い口調で、俺に話しかけてきた。
俺はいわれた通り逃げ出そうとするが、黒い謎の集団は俺を逃がすつもりはないらしい。
そんな様子を見ていた少年は、俺にも聞こえるほどのため息をつくと、この謎の集団を睨みつけていた。
「最近やけに騒がしいと思ったら、あんたらの仕業か。この男をなぜ狙う」
そう言って、俺を取り囲んでいる黒い謎の集団を、持っている刀で斬りつけていった。
俺は恐怖のあまり目を閉じる。
人が死ぬとこなんて、見たくもない。
耳元には刀を振り下ろしたときの風を切る音などが聞こえてくる。
その度に、俺は震えていた。
どれほど時間がたったのだろう。
俺はずっと目をつぶったままいたから、時間のたち方が分からないでいた。
シュッという音だけが、今も耳に残っている。
「終わったぞ。しっかし、兄さんは情けないね」
俺は恐る恐る目を開けると、刀を納める少年の姿があった。
目力の強い少年だ。
白い肌に、顔立ちがほんといい。
はっきり言って、小学校でかなり、もてているだろうと言いたくなるような美男子だ。
一見すると少女と間違えるかもしれないほどの、中性的な顔をしている。
さっとあたりを見回すと、先ほどまでいたあの黒ローブや緑の化け物がきれいさっぱり消えていた。
だがそこには、血のあとも死体もなかった。
「さっきのはなんだったんだ?」
そう、そもそも、そこ自体がわからない。
急に襲われたため、一体何者かもわからない。
そう、いきなりすぎて、理解なんてできるはずがなかった。
「しらないけど、どっちかというとあっちの世界の者じゃないか?あんまいい連中じゃない。で、なんであんな奴らに狙われてるんだ?」
正直わかっていない。
そもそも、こっちが聞きたいくらいだ。
最初のコメントを投稿しよう!