第3章 革命家

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 なつかしい暑さだ。  ぎらりとした日差し。  すでにいないはずの母が、前を歩いている。  手で、額の汗をぬぐった。  はるか先の河――赤い水  赤水。  故郷の川・箭河だ。  川の近くには、兵士たちが、うろうろしている。  人が近づくと寄ってきて、兵士たちは、流民を川のそばから追い払う。  渡る舟はなく、道は閉ざされている。  残された道は、杏の民となることだけ。
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