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なつかしい暑さだ。
ぎらりとした日差し。
すでにいないはずの母が、前を歩いている。
手で、額の汗をぬぐった。
はるか先の河――赤い水
赤水。
故郷の川・箭河だ。
川の近くには、兵士たちが、うろうろしている。
人が近づくと寄ってきて、兵士たちは、流民を川のそばから追い払う。
渡る舟はなく、道は閉ざされている。
残された道は、杏の民となることだけ。
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