第1章

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数日経った頃、 閉店を知らせるcloseのプレートを立て掛けた時に、 1人の男性が閉めかけたドアノブに手をかけてきた。 「ヨシ、話があるんだけど」 リューマだった。 「えっ!?うそっ!?」 後ろで悲鳴に近い叫び声がする。 綾野がリューマの出現に肝を抜かしてるのが 容易に想像が出来た。 「もう仕事終わる? 終わったらそこの向かいの喫茶店に来て。ミユキの事で話がしたい」 リューマの思い詰めたような表情。 余裕のない様子のリューマは 向かいの喫茶店を指差した。 「分かった。すぐ行く」 サロンの後片づけを綾野と吉田に任せて 帰り支度をすると、リューマが指定した昔ながらの喫茶店に入った。 オレも休憩によく使ってる店だった。 暗めの照明の店内の端っこに、リューマが長い足を持て余してソファに座っていた。 オレに気づくと、 リューマは手に持っていたホットコーヒーをテーブルに置いた。 オレはリューマの前のソファに腰をかける。 「話って……?」 「ミユキのお腹の子の事で」 「…………」 「ミユキと瑠衣を連れて来月渡米したいと思ってる」 「は……? 何、勝手な事言って……。 ミユキは承諾してるのかよ?」 「それは絶対譲れないんだよ。ミユキは必ず説得する」 「そこまで強行でするつもりでいて……オレに何の用?」 「不本意だけど、親子のDNA鑑定をしたいんだ」 そう言葉にするリューマは辛そうに綺麗な顔を歪めた。 本当に不本意なんだろう。 「それで、オレとミユキ、ヨシとミユキで血を採取して親子のDNA鑑定に出したいんだ。費用はオレが払う」 「子供……生まれてないのに出来るのか?」 「母親の血液からお腹の子供のDNAも検出可能で、判定ができるらしい。昔は羊水を採っていたみたいだけど。」 「…………」 それを聞いて 無意識にオレは生唾をゴクリと飲み込んだ。
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