”千里の道も一歩から”編_弐拾漆

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  私は何も思いつかず、ごめんなさい、と咄嗟に謝った。 蓮はクスッと小さく笑う。 「由紀さんは本当に、謝ってばかりだね・・・」 私は彼が自分のことを、由紀、と呼ぶことに動揺して 既に真っ赤だったはずの顔に更に血が上るのを感じた。 30過ぎにもなって、小娘みたいで情けなさ過ぎる・・・ 蓮はその優しい声で続ける。 「・・・会えてよかった。 ・・・ずっと、探したんだ。 あの時、あんな風に別れてしまったから・・・」 私は、す、と言いかけて、口を噤んだ。 だが、何を言おうとしたのか蓮は分かったようで クスッとまた笑う。
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