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その時、蓮が伸ばしてきた手を私は払いのけた。
「からかわないでっ!」
つい、大きな声を出してしまい、蓮は悲しげに手を引っ込めた。
私は震える声で自分でも根源すら分からないのに、
湧き出す苛立ちを自分勝手にぶつける。
「東京、行っちゃうんですよね??
なのに、なんで、そんなこと言うんですか?
それに、江守さんは有名なピアニストなんですよね?
そんな貴方と私が釣り合う訳無いじゃないっ!
どうせ・・・、
どうせ、あっという間に私の前からいなくなっちゃうくせに
なんで、そんなこというのっ・・・
なんで、そんなヒドイこと・・・」
私は勝手に零れ落ちた涙を子どものように手で拭った。
蓮は悲しそうに手を伸ばしたけど、私はそれを拒んだ。
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