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つまり仙さんは、コウハとは別口の依頼ということだ。
そしてこの様子では、どちらの依頼も完遂していないということなのだろう。
珍しい。
文士としての仕事はともかく、代書屋としての仕事が終わらないとは。
「……遊仙の身の回りの世話をしているもので、依代と申します。
雅号を胡蝶と頂いておりますので、そちらで呼んでいただければ幸いです。
不肖の主になり変わり、まずは私がお詫び申し上げます」
いや、正確にいえば弟子なんだけど。
どうにも仙さんは文士ではないみたいだし、その辺りの説明が面倒になりそうだ。
下手に弟子と名乗って勘違いされて、御師様の代わりを頼まれても困る。
私、字、汚いし。
「依代さん、依代さん、オレへの謝罪は?」
「うん、ごめん。
そこらへんの座布団、座っててくれない?」
「かるっ!! オレへの謝罪、かるっ!!」
コウハを軽くいなし、仙さんへ座布団を用意しながら御師様へチラリと視線を向ける。
とにかく、文士としての仕事は後だ。
お客様をお待たせしている以上、こちらの仕事から片付けてもらわなければ……
「……御師様?」
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