第5章 道端に小石

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次の日、僕はいつも通り学校に登校した。毎日のように支度を済ませたが、1つだけいつもと違っていた。 ふと起きたときに机の小石が目に止まった。昨日偶然拾った小石、何か不思議なものを感じるそれを僕は気づいたときには手に持ってそのまま制服のポケットにしまっていた。 「まあ石1個で何か変わるわけでもないし、別にいいか……」 そう呟き、僕は学校に着いた。すると怒号が響いてくる。恐らくこの声はうちの学校名物の体育教師の声だろう。 僕の通う学校には結構美男美女が揃っている。僕の通うクラスではないが川端さんと同じ剣道部の女子で美人で強い人がおり、彼女の幼馴染みがかなりのイケメンだと聞いた。 また別なクラスにも少し抜けているが美人の人がいるとも聞いたこともある。どちらにせよ、僕が関わる機会はないだろうが。 さらに教師も変わった人が多い、その中でも先程述べた体育教師は特にそうだ。竹刀を持ち歩き、相手を容赦なく引きずって連れていく。鬼より恐いと皆から恐れられていた。 その教師が男子生徒を引きずっていくのを横目に見ながら、僕は教室に入った。その瞬間、 「おはよう!小道くん!」 いきなりクラスの女子に挨拶された。僕は驚きつつ、 「あ、あぁ、おはよう……」 「もう、小道くんは相変わらずだね!」 「は、はぁ……。そうなのかな?」 僕が戸惑いながら言うと、クラスの皆がこちらを見て挨拶をしてくる。今までろくに話をしたこともない人からもだ。 (ど、どうなってるんだ……?皆、僕をからかっているのか?それともこれは夢?) しかし夢にしてははっきりしすぎているし、からかうにしては皆が僕に向けている笑みから悪意は感じられない、と思う。そんな時、ふと川端さんがこちらを見た。 (あ、もしかして川端さんも……!?ヤバイ!どうしよう!?) すると彼女は僕の近くに歩み寄ってくると、いつもと変わらない顔で、 「おはよう、小道くん」 それだけ言うと教室から出ていってしまった。 取り残された僕は何が何だかわからず、しかし周りは僕に話しかけてくる。 (な、何なんだ?彼女は、特に変わらないのに……。いったい何が起こってるんだ?) 周りの声が僕を呼ぶ。しかしそれは僕にはまったく届いていなかった。
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