1人が本棚に入れています
本棚に追加
矢田が今にも泣きそうな顔で、私の元へやってきた。
「・・・か・・・柏原さん・・・
あの、もう、どうしたらいいか・・・」
矢田はまだ20代中盤の若手社員だ。
それにも関わらず、
目の前の矢田はクタクタのシャツやボサボサの頭。
矢田の疲れを現すように、
くっきりと付いたクマで私より年上にすら見える。
私はパソコン作業の時にだけ使う眼鏡を外し、矢田を見る。
「・・・どうしましたか?」
矢田は先ほど席を外した神田が出て行った扉を
チラチラと確認しながら、
ビクビクした様子で、要領の得ない言葉を続ける。
「・・・あ、の・・・。
物2には関係なくて・・・
だけど、もう、ムリで・・・。だから、その・・・」
私は矢田を落ち着かせようと立ち上がる。
「・・・矢田さん、こちらへ。」
最初のコメントを投稿しよう!