初陣編_肆

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  打ち合わせスペースの扉を閉めると、 矢田は唇を震わせ、必死に泣くのを堪えている。 矢田が追い詰められていることは知っていた。 毎日、神田がフロア中に響くような大声で 聞くに堪えないような罵声を浴びせていた。 ただ、神田の言い分が正しくないわけじゃない。 矢田の落ち度を指摘している、と言う点では 開発リーダーとして間違っていない。 ・・・だが、その指摘の仕方が、あまりに、ひどい。 見かねて、何度か仲裁に入ったが、 それは火に油を注ぐようなもので 結果的に矢田を傷つけるばかりだった。
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