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「お金なら何とかします」
ここに来てから全く口を開いていなかった、母親が初めて口を開く。
「お母さん!」
一緒に来ていた三人が、驚いた顔で母親を見た。
「でも…………いいんですか?」
萌が泣きそうな顔で聞いた。
「何言ってるの萌ちゃん。アナタの一大事なんだから、お金がどうのとか言ってる場合じゃないでしょ?」
「あ、有難うございます」
萌は顔を歪めると、そのまま目を手の甲で拭う。
「そうだよ。私もバイトするから」
すずが萌の肩を抱いた。
「所長、俺無給で活動しますから、お願いします」
「しかしなぁ…………後四十七日やそこらじゃ…………それに今やってる仕事だってあるし」
「それは……今俺がやってるのは、美桜ちゃんに引き継いでもらうってことで」
「私!?」
美桜が声を裏返らせる。
「頼むよ」
「は、はぁ…………」
美桜は渋々頷いた。
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