第3話 島村鷹斗

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「おい美桜」 一緒に立ち上がった美桜に、所長が声をかける。 「何よ?」 「オマエは別の仕事があるだろう」 「え? 何よ?」 「何よじゃねぇよ。島村くんの仕事を引き継ぐんだろうが」 「あっ」 美桜が、そういえばそうだったという顔をした。 「先輩の仕事って何でしたっけ?」 美桜が鷹斗に聞く。 「ああ、浮気調査だけど」 「ええええ、ちょ、私にはそんなの無理だよ。車の免許だって持ってないのに!」 美桜が所長に文句を言った。 「今回のターゲットは、電車通勤だし、駅から自宅までは徒歩だから、自転車で充分」 「ええええええ。ヤダよ~~~~~。浮気相手とタクシーに乗ったらどうすんのよ?」 「そのときは自転車で追いかけろ」 「無茶言わないでよ!」 「じゃあ行きましょうか」 揉めている叔父と姪を横目に見ながら、鷹斗はすずの母に声をかけ、三人を促して外に出た。
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