第3話 島村鷹斗

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「あった」 錆びれたという言葉がぴったりな古びたアパート。 鷹斗は車を停めると、一つ大きく呼吸をしてから、車を降りた。 ここに萌の母親が住んでいる。 建物に近づくにつれ、緊張してきた。 もしかしてこの部屋の中で息絶えていたりしたらどうしよう……。 そんなことを思いながら、部屋を探した。 ここだ。 103号室と書かれたドアの前に立つ。 インターホンがついていないから、鷹斗はドアをノックした。 しかし、返事はない。 しばらく待ってもう一度ノックしてみたけど、やはり返事はなかった。 留守なのか、もしかしたら中で死んでいたりするのか……? 後者を想像して、背筋がゾッとする。 諦めて引き返そうとしたときに、隣の部屋の住人らしき初老の男性が、外から戻ってきた。
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