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「あった」
錆びれたという言葉がぴったりな古びたアパート。
鷹斗は車を停めると、一つ大きく呼吸をしてから、車を降りた。
ここに萌の母親が住んでいる。
建物に近づくにつれ、緊張してきた。
もしかしてこの部屋の中で息絶えていたりしたらどうしよう……。
そんなことを思いながら、部屋を探した。
ここだ。
103号室と書かれたドアの前に立つ。
インターホンがついていないから、鷹斗はドアをノックした。
しかし、返事はない。
しばらく待ってもう一度ノックしてみたけど、やはり返事はなかった。
留守なのか、もしかしたら中で死んでいたりするのか……?
後者を想像して、背筋がゾッとする。
諦めて引き返そうとしたときに、隣の部屋の住人らしき初老の男性が、外から戻ってきた。
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