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「教えてくれ、こっちも困っとるんじゃ」
不動産屋のオヤジが身を乗り出してくる。
「困るって言われても」
「四か月分の家賃を滞納されて、突然ドロンされたんじゃ」
「ドロンって……」
忍者じゃないんだから、ドロンって何だよと鷹斗は思った。
「ちょっとだけ入院するいうて連絡があったから、まぁこっちも優しさで待ってやっとたんじゃけど、それが急に病院からおらんようになった言うて、警察がうちに来てのぉ」
「はぁ……」
「話に聞きゃぁ、末期のガンじゃったらしいわ」
「ガンですか……」
「おおそうじゃ。病院から消えてしもうて、どっかで野垂れ死んどるに違いないわ。そういうことじゃから、娘に家賃を払うように頼んでくれんか?」
「いや、しかし……お嬢さんの父親とは、すでに離婚をしているので、お嬢さんには支払いの義務はないように思いますが」
「そうなんか?」
不動産屋のオヤジは露骨にガッカリした。
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