初陣編_伍

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  私はどうも、医者と言う人間に弱い。 祖父母の家の近所の診療所にいた、老医師は豪快な人で 無茶をしてはよく怒鳴られ、幼い頃は恐れたものだ・・・ だが、いつだって、 地域の人のために働いてくれている彼を嫌った事はない。 最後の家族である祖父に置いてかれて、 一人ぼっちになった私の様子を事あるごとに 見にきて、助けてくれたのも、彼と彼の家族だった。 ・・・。 私を押し付けあった親類より、ずっと、 私にとって身内に近い存在だ。 老齢な彼が亡くなったら、心が千切れるほど泣くだろう・・・ だが、父が亡くなったと聞いても、私は泣けないかもしれない・・・
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