初陣編_拾参

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初陣編_拾参

  鏡を見送って身体をきれいにしてもらった後 結に言われるがまま、私は上着を脱ぐ。 背中を結の冷たい手が触り、ヒヤッとする。 胸を隠すのに前で抱えていた上着をギュッと握る。 結がクスッと笑う。 「・・・リラックスして下さい。痛くはしませんから。」 あの日、鏡がしたように肩甲骨や肩を一通り触って 大きなバスタオルを掛けた。 赤外線で肩を暖めている間、結は隣の椅子に座る。 「・・・なぜ、今の仕事が好きなのですか?」 え?と聞くと、結は笑う。 「だって、好きじゃなきゃ過労になるまで働かないでしょ? それに、肩を痛めた時も、貴女が一番初めに心配したのは パソコンが使えるかどうか、でしたよね。」
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