死してなお彼女は強く

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「着いたぜ」  住田が車を路肩に止めた。 「やっぱり止めようよ」  車のヘッドライトが消えると、辺りは闇に覆われる。光を寄せ付けない宵闇は不思議と綾瀬さんのその不安げな声をもかき消すようで。 「いいじゃない、いいじゃない。せっかくここまで来たんだからさ」  久保さんが彼女の背中を押した。  俺たちは、トンネルの入り口に立った。トンネルはそれほど大きくはない。天井も脚立があれば届くくらいだし、道幅に至っては車一台がやっと通れるかどうかといったところだ。だが、だからこそその圧迫感が、恐ろしさを助長するのだ。  静寂が続く。ようやく暗がりにも慣れてきて、ぼんやりとトンネルの先が見える。中腹部辺りに柱のような物を認めることが出来た。  俺と住田は出口まで行って帰って来る案を推したのだが、綾瀬さんがあんまり怖がるので、それに屈する形で、その中腹部の柱にタッチし、帰って来るということに決まった。
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