死してなお彼女は強く

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 八月二十五日。地元では有名な祇園祭があったり、花火大会があったり。人によっては夏休みの最後の一週間だったり、はたまたなんでもない一日だったり。 俺にとってその日は特別な日だった。  毎年、その日は仲間たちと集まることになっていた。就職しようが、子供が産まれようが、平日だろうが、繁忙期だろうが、関係なく俺たちは集まった。もう十年以上、これは続いている。  蒸し暑い日は相変わらず続いていた。 「おい、行くぞ!」  十年来の悪友である住田が俺を呼ぶ声がした。奴は卒業と同時に東京へと旅立ったのであるが、毎年かかさず俺たちの集まりには参加した。十二年前のあの日以来、彼はこの日に帰省することを欠かしたことがない。
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