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「お前、不参加じゃなかったっけ?」
俺は、住田の隣へと滑り込み小突いた。そもそも下戸である住田は、酒の席には滅多に顔を出さない。奴は、顔をくしゃりと歪ませると不思議そうに言った。
「そのつもりだったんだけどよ。当日になってなんか参加しようと思っちゃってよ。思い立ったら吉日ってんで飛び入り参加さ」
「俺と同じか」
奴はウーロン茶を美味そうにすすると「うん」と頷いた。ニヤリと意地悪く笑う。
「お前の愛してやまないアヤちゃんがいるもんな。不参加なわけないぜ」
「うるせえ」
住田の頭をはたいた。俺が彼女に告白したのは五年も前のことだ。結果は、今俺が独り身であることから察して欲しい。俺は煙草に火を点けた。しみったれた味がしたのですぐに消した。
同窓会は思いのほか盛り上がり、良い具合に酔いが回った頃合いで解散の運びとなった。
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