死してなお彼女は強く

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「二次会参加する人―!」  酒もあってか、珍しくハッスルした発案者の久保さんが解散後の俺たちに呼びかけた。住田と俺を含めた数十人が参加し、居酒屋をハシゴした。  勢いに乗った俺たちは、その後、二件、三件と店を繋ぎ、時間の経過と共に参加者は一人また一人と減っていった。  最後に残ったのは四人だけだった。久保さんと海外帰りの綾瀬さん、そして俺と住田。午前一時。そろそろ入れる店も無くなってくる時間帯だった。 「ねえ、カオナシ行こうよ。カオナシ!」  久保さんがそんなことを言い始めた。  カオナシ峠とは、正式名称不明の地元でも有名な心霊スポットである。そこへ向かうトンネルがメインスポットになっていて、肝試し等で訪れる者も多い。(現在では閉鎖されているのだが、この当時はまだ閉鎖前であった)  学生時代は、度胸試しに色々と無茶をしてきた俺が、この言葉で奮い立たないわけがなく、更には悪ノリすることにかけて右に出る者がいない住田も二つ返事で車出しを了承したので、俺たちは怖がる綾瀬さんの手を引いて深夜のドライブへと出発した。  山を二つほど超えて、一時間。外灯の光すら届かない中に突如としてトンネルが現れた。
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